SSHブログ

2020年8月の記事一覧

アカデミックインターンシップ 株式会社朝日ラバー研修

 8月19日(水)に白河市の株式会社朝日ラバーの白河第2工場で研修をさせていただきました。この研修は生徒が地元企業などへの訪問を通して研究開発の一端を見学・体験し、研究職・技術職への理解を深め、今後の自らの探究活動や学習、そして進路決定に生かしていくことが目的です。

 参加したのは2年SSクラスの男子3名です。まず、会社概要について、その後、各種製品について説明していただきました。卓球ラケットのラバーから、自動車の部品、輸液、透析などの医療用機器の部品や医療系学生が実習に用いる皮膚や血管、内臓のモデル、ライフサイエンス分野に用いられるマイクロ流体デバイス、今後さまざまなところでの使用が期待されるRFIDタグなど、ゴムを利用した幅広い分野の製品について説明を受けました。説明の後、工場内を見学させていただきました。製品の中には塵を排除したクリーンルームで製造されているものもあり、生徒たちも専用のウェアを身に付けて入室させていただきました。ゴム製品に関わる研究の基本は化学ですが、工学などさまざまな専門を持つ従業員の方々が日々研究・開発に励んでいるとのことでした。

 生徒たちは、シリコンゴムの開発などの技術面だけではなく、会社が保有する独自の技術や知識を利用して、私たちの社会が抱える様々な分野の課題に挑み続ける姿勢に大きな興味を抱いたようでした。今回の研修の機会を設けて下さいました、株式会社朝日ラバー様、また、研修を企画してくださったふくしま医療機器開発支援センター様に改めて感謝申し上げます。

<生徒の感想から>

・今回の研修で化学に加えて工学、医学などと関連した製品がありました。自分が将来大学で化学を専攻する際、どの分野とかかわっていくのかも考えなければならないと思いました。

・シリコンゴムの技術についてのみならず、経営面についての話も聞くことができて大変有意義な時間となりました。販路の開拓や企業間の交渉などに興味を持ちました。

・病院のリネン(シーツ、パジャマなど)などにもRFIDタグが利用されているところが印象に残った。

アカデミックインターンシップ 福島コンピューターシステム(株)研修

 8月18日(火)・19日(水)に福島コンピューターシステム株式会社での研修に両日あわせて17名の生徒が参加しました。この研修は、地元企業において、研究や業務の一端を体験することにより、自然科学分野における研究に必要な高度な知識やスキルの向上を図ることを目的としています。

 今回の研修では、システムエンジニアの業務についての講話を拝聴し、学習型パートナーロボットUniboのプログラミング実習を行いました。企業の第一線で活躍されている方のお話を伺ったり、最新の技術に触れることができ、大変有意義な研修となりました。今回の研修の機会を設けて下さいました、福島コンピューターシステム株式会社様に改めて感謝申し上げます。

<生徒の感想から>

 Unibo(対人コミュニケーションが可能な多機能ロボット)を用いた実習では、自身の手で簡単なプログラムを組むことにより、どのような処理が行われているかを実感を伴って学ぶことができた。
また、先日のSSアカデミーのプログラミング授業とリンクする知識も多々あり、言語は違ってもプログラミングの考え方の枠組みは共通しているということも実感した。

 今回の研修を通して、「迷ったら楽しい方を選ぶ」のように今後の生活に役立つような事を学べました。また、私でも「難しいかな」と思っていたプログラミングを一人でして、ロボットを動かせたことがとても嬉しかったです。

 

アカデミックインターンシップ ふくしま医療機器産業推進機構研修

 8月の夏季休業を利用し、本校SSHクラスの生徒がインターンシップを体験しました。これは生徒が、地元企業などへの訪問を通して研究開発の一端を体験し、研究に必要な高度な知識やスキルの向上を図ることが目的です。
8月1日(土)、郡山市富田町の一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構にて、生徒4名が医療機器開発について研修を行いました。同機構が進める「福島県医療関連産業高度人材育成プログラム」の一部に参加させて頂いたものです。

Asaka High School, FukushimaAsaka High School, Fukushima

 今回の講座は、医療機器業界の全体像や開発の流れ・安全な製品を作るためのリスクマネジメントなどに関する内容でしたが、講義受講後、地元企業から派遣された若手の担当者とともに、医療機器開発においてポイントとなる視点について、ディスカッションを行いました。

 日常何気なくお世話になることはあっても、ほとんど意識したことのない医療機器の開発について考えをめぐらすことはとても目新しく、生徒にとってはかなり刺激的な体験でした。さらに普段接触機会のほとんどない若手社会人の方々との話し合いからも、たくさんの刺激を頂きました。

 研修の機会を頂いたふくしま医療機器産業推進機構様にはあらためて感謝申し上げます。

 

(以下、生徒の感想です)

・今回第5期医療関連産業高度人材育成事業 高度研究開発者ビジネスコースに参加させていただいて、今までにない貴重な経験をさせていただいたと感じています。

 僕が今まで、スーパーサイエンス関連のプログラムに参加した時、一緒に活動するのはほぼ例外なく同じ年代の、高校生でした。しかし、今回は、社会人の方との活動ということで、先生にそのことをお伺いした時はとてもドキドキしました。しかし、大人の方々に優しく、真剣に自分の拙い意見も聞いていただき、話にどんどん入り込むことができたのは、大変嬉しかったです。

 また、専門の大人の方のお話を伺ったり、考えに触れたりすることは、勉強になりましたし、刺激的でした。難しいこともそのままの形で話してくださり、取り付きにくかった部分もなかったわけではありませんが、わからないところはわかるように教えてくださり、自分なりに消化できた面も多く、さらに生の空気感を感じることができ、新鮮でした。今回得た貴重な経験を将来の自分の目指すべき目安の一つとして捉えて、自己研鑽に励みたいと思います。

 高校生でありながらも、難しい専門的なお話に参加できたこと、大変嬉しく思います。医療機器についての内容はもちろんのこと、社会経験を積む場としても大変有意義なものにできたと感じております。今回一緒に活動してくださった大人の方々の姿はかっこよかったです。将来自分がどういった姿を目指すかという目標になりました。ありがとうございました。

アカデミックインターンシップ 東成イービー東北㈱研修

 2020年8月3日(月)に、SSクラス対象アカデミックインターンシップとして、東成イービー東北㈱に2名の生徒が参加しました。

 この事業は、本校SSH事業における研究の深化を担う代表生徒に対し、大学や民間の研究機関に赴き、研究の一端を体験することにより、自然科学分野における研究に必要な高度な知識やスキルの向上を図ることを目的としています。

 参加させていただいた東成イービー東北㈱様は、「はやぶさ2」プロジェクトの重要部分を任され、1年半の試行錯誤の末制作された部品により、的確にクレーターをつくるという大成功に関して、多大な貢献をされた会社です。2名の生徒達も、大きな成果を為しえるための努力や開発という未知なるものへのチャレンジについて興味深く受講していました。

 生徒感想と受講の様子を掲載します。

 先日のアカデミックインターンシップでは、実際に製品加工に携わる人の姿や思いの一端を感じられました。
 はやぶさから車のダッシュボードまで、幅広く加工が活躍していることを知り、製品が世に出るまでに加工がどれだけ役に立っているかをプレゼンや体験を通して知れました。また、担当者様方が説明自分の拙い質問にも丹念に答えてくれたり、終始和気あいあいとした雰囲気で迎えてくれたことには人生経験の深さを感じざるを得ませんでした。
 今回の発表が、実際に社会で働こうという思いを新たにする素晴らしい機会になりました。

 JAXAから、はやぶさ2に関わる受注を受けたという技術力を目の当たりにできただけでなく、社長の福島県に対する熱い想いを感じることができた。
 今後の生活においては、今回の見学で得たことを生かし、福島県に将来、何か還元できるようにないたいと思う。

 

 

福島の復興と放射線についての授業2020

8/7に福島の復興と放射線についての授業を午後に実施しました。本校では毎年実施しています。

◎参加者
本校希望生徒40名
担当:本校物理教員
ゲスト: 福島県環境創造センター佐々木清様、黒田佑次郎様 社団法人AFW代表吉川彰浩様 南東北病院島津勇三様

 

 ◎目的
授業目標 放射線とは何か知り、福島県の現状について把握すること。そして放射線の知識を土台として、現在の福島県の課題(廃炉、除染と除染土の処理、風評被害・偏見)を科学的・社会学的に分析し、自分の意見を持てるようになること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◎生徒の感想 

・被ばくの量は合理的に達成可能な限り減らすのが大事だと分かりました。もっと県内外に今の福島県をアピールすることが必要だと思いましたし、他県の人たちもそうですが、福島県民の私たちも実はあまりよく理解しておらず、間違った考えを持っているところもあると思うので、放射線の教育は県内外でもっと積極的に行ってほしいです。復興のために頑張ってくれている方がたくさんいらっしゃることを知り、感動しました。その方々のことももっともっと知ってもらいたいと感じました。福島県民として、原発や復興について考えていかなければならないと改めて思いました。 (1年女子)

・特に印象に残ったのは放射線とは何かという①の授業と統計を用いて被害・現状を説明していた③の授業です。③④などの授業では、グラフ・表をもとにして進めていたので、具体的、数値的なイメージがつかみやすかったです。科学的な議論とはどのようなものかも知ることができました。9月の被災地研修にて実際に見学することで、さらに知識・理解などを深めていきたいです。 (1年男子)

・後半や休憩時間に、今でも現場に関わっている人の話をたくさん聞くことができ、何とも言えないぐっと心にくる話が何回もあり、泣きそうになりました。もう福島は大丈夫、ということを訴えても訴えてもいまだに払しょくできずにいる現状を感じ心が痛みました。福島の現状について、これから僕も何かみなさんに伝えることができることができるのではないかと、この授業を通して思いました。 (1年男子)

・私は今まで、放射線を遮ることのできるものはないのではないかと考えていました。しかしα線は紙で、ベータ線はアルミニウムなどの金属で、ガンマ線やx線は鉛や厚い鉄でとめられるということが分かりました。だから棒小学校で行われていた、ペットボトルに水を入れておく、という取り組みもしっかり根拠があることが分かりました。③の授業で「放射線の影響は、生まれてくる子どもには関係ない」ことが一番心に深く残りました。講義の中で私が得たものはあまりに大きかったです。今回の講義では、放射線について学ぶことが主な目的だったと思いますが、そこで私が得たものはそのような知識のみならず、今後の人生において必ず役立つであろうヒントでした。今回しっかりとこの講義を受けてよかったです。 (1年女子)

・福島県民でありながら、まだまだ知らない知識がたくさんあるのだと思いました。特に印象的だったのが、同じ県内の高校生たちが福島県の復興のために英語論文を発表するなどの取り組みをしているということです。今の自分にできることをしていきたいと強く思いました。また、個人的に興味深かったのが、「被災地の役に立ちたい」と声を上げた医師たちが県外から駆けつけて来てくれたという内容です。今回の授業では、放射線のことだけでなく福島の復興についてなど社会的な面でも学べる内容が多く、とても勉強になりました。 (1年女子)

・私は東日本大震災を小学2年生のときに経験しました。当時母から「あなたはこの災害について未来の人に語り伝えていくことのできる最後の学年になるんだよ」と言われました。この言葉は今になっても私の心にあります。当時はピンと来てませんでしたが、今回の話を聞き、世界に東日本大震災で経験したことやこれまで福島県がやってきたこと、今の福島県について語り伝えていかなければならないんだと思いました。 (3年女子)

・私はこの授業を通して、多くの人に放射線について、福島の現状について、正しい知識を身に付けてほしいと強く思いました。他県のアンケート結果を聞いたらなおさらそう思いました。ニュースで線量だけ報道されても、どの数値だと安全で、実際に県外ではどうなのかということは分かりません。またこのくらいの線量ならば人体にはほとんど悪影響がなく、むしろ医療被曝の方が何倍も高い放射線を浴びるということもです。小中学生には数値を使って安全性をより簡単に、分かりやすく教えるべきです。また、教えるだけでなく、知ろうとする姿勢、動機付けも重要になってくると思います。それは他県でも一緒です。みんなが正しい知識を身に付けなければ、このような苦しい風評被害はなくならないのではないでしょうか。そのために必要なのは、比較ではないかと思います。他地域と比較して伝え、相手に目で見て実感させるのが大切だと思います。
実際に福島の復興のために多くの県外の人が力を尽くしているのも事実です。そこで大きな役目を果たすのは、SNSもそうですが、何よりメディアだと思います。政府の厳しい基準をクリアしていて安全で、他の地域と比較して変わらないということを強調して報道することで多くの人の努力が伝わり、少しでも人々の誤解が解け、風評被害が減ってくれること、そして福島が復興に向けて活性化していくことを望みます。 (3年女子)

・放射線について福島はもう大丈夫というのはよく聞いていたが、具体的にどう大丈夫なのかがはじめて知れてよかった。そして、様々な数値を見て、むしろ危険視する他県の方が線量が高い場合もあったりしたので、倫理で聞く「無知の知」はこういうことに対し客観的に考えるために教わった知識なのだと思った。10年もたつと意識や記憶は薄れていくが、誤認のまま薄れていくのは困ると思う。正しい知識が広まっていないということは誤認を長年信じ続けることにつながるため、永遠に誤解が解けないという事態になりかねない。全国的に再度正しい知識を教えるべきだと思う。難しいことを言われてもただつまらないだけなので、かみ砕いている説明ならだれでも理解できると思う。 (3年女子)

・現在福島復興のために様々な解決策が講じられているが、結局最も必要なのは人のつながりなのではないかと感じた。自らの利益ばかりにとらわれるのではなく、互いに支えあい、一方が大変なときには他方が支えるようにすれば、諸問題が解決の方向に行くのではないかと思う、この授業を通して、多くの人が福島県を支援してくれていることを知り、温かい気持ちになった。支援された人が人のつながりの重要性を知って別の困った人を助け、またその人が人のつながりの大切さに気付き・・・といったような連鎖反応が、国の違いや人種の違いなども超えてつながっていけばよいと感じた。 (3年男子)

 

◎授業内容 (各50分程度、授業内容は毎日同じ)

① 放射線の基礎 : 放射線の正体、単位と測定法、原発の原理
② 放射線の実験 : 放射線の性質の理解(線源の測定や距離・遮蔽実験を通して)
③ 福島の現状  : 放射線の生体への影響、現在の福島の線量や食品検査の結果
④ 福島の課題  : 現在の原発の様子と課題、風評被害とその原因
⑤ 福島の努力  : 避難指示解除地域の現在、福島の人の震災後の努力   

⑤の最後には「自分たちの子どもの世代に、東日本大震災(地震、津波、原発事故)の教訓として何を残すか」についてグループ内で話し合い、まとめました。夏休みの課外後の夕方にも関わらず、生徒たちは一生懸命に考えていました。