SSHブログ

高校生がとらえる福島の現状と復興 -夏季休業中の研修の報告会、および討論会- を実施しました

9/7に「高校生がとらえる福島の現状と復興」-7/13相双研修・2019国際高校生放射線防護ワークショップ 報告会および討論会-を本校にて実施しました。生徒と大人を合わせて全体で80名程度が参加しました。
生徒たちのアンケートをまとめたものはこちら(201909高校生がとらえる福島の現状と復興アンケートまとめ.pdf)になります。

夏季休業中に福島の復興や現状についての諸研修会に参加した生徒たちの報告会を行い、ディスカッションを行った後、坪倉正治先生のご講演、そして全体のグループディスカッションを行いました。

坪倉先生の講演会は被災地での医療の話のみならず、最初の生徒発表、今年のSSH指定を受けて、「問題」と「課題」の違いなど課題解決のための基礎的な考え方を深く教えていただきました。
その後の全員のグループディスカッションでは「福島の問題について具体的に課題と解決策を考えること」を全体で行いました。なかなかうまく「課題」を見つけられない生徒も多く、坪倉先生から多くのご助言をいただきました。生徒たちは真剣にディスカッションを行い、語り合っていました。

参加者、特に今回発表した皆さん・・・本当にお疲れさまでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

○生徒感想の例

・ポスター発表やグループディスカッションを通して、高校生でもできることはあって、それに興味を持っている人がいることが分かりました。また、講演会では、分からないことが分かることが一番の理解であるという言葉がすごく心に残りました。(1年男子)

・分からないことを言葉に出来ることが大切だと改めて分かった。解決策を考えることも難しいが、それよりも課題を設定することの方が難しいことだと分かった。そんな力を伸ばしていきたい。(3年男子)

・1番印象に残ったのは、坪倉先生のお話です。今まで、震災や原発について具体的な状況や取り組みを知る企画に積極的に参加してきました。その度に様々なことを学び、何が問題なのか、何ができるのかを考えてきました。しかしそれは、今回先生がおっしゃっていた「問題」に過ぎず、「課題、解決策」まで落とし込めていなかったことに気づきました。このプロセスを学べたことは、今後復興に携わるだけでなく、様々なことに生きてくると思います。坪倉先生のお話を聞けて本当に良かったです。(3年女子)

・発表会では、多くの人の考え方に触れ、新たな視点で問題と向き合うことができ、とても勉強になりました。特に海外の方の原発への向き合い方が日本人とは違うことに驚きました。全員が納得する解決策を考えるのは難しいなと感じました。 坪倉先生の講演では、自分に足りないものに気付かされました。「問題と課題」ということについては初めて指摘されたので、特に心に響きました。将来福島の復興、医療に携わるという夢に向けて、自分が何をすべきなのかを具体的に考える大きなきっかけになったし、今の自分には何ができるのか少し見えてきた気がします。これからどの分野においても、もっと様々な情報を得て学び、課題を見つけるということを実践していきたいと思います。 参加して本当に良かったと思っています。このような機会を設けてくださりありがとうございました。(3年女子)

・これから自分たちがやるべきこと、考えるべきことを知ることが出来て良かった。もっと福島について向き合っていくべきだということも学べたのは、自分にとってとても大きかった。(2年女子)

・発表者のみなさまへ。表情や言葉から、気持ちが伝わってくるような場面もあって心にぐっときました。また、実際に行って体感することの大切さを教えられたと思います。非常に良かったです。ありがとうございました。そして、研修お疲れ様でした。(1年男子)

・同世代の人たちが自分なりの考えを持っていることに刺激を受けました。また、坪倉先生のお話を聞いて、自分たちが今後どのような方向性で復興に取り組めばよいのかの見通しがつきました。(1年男子)

・夏休みの被災地研修も合わせて、まだまだ少しではありますが、福島県の現状や目指しているものを感じ取ることができました。今回坪倉先生がおっしゃっていた「分からないことがわかる」という言葉が、深く心に刺さりました。今まで「問題」の段階で止まっていた考えを、しっかり「課題」となるまで深めていくのがどれだけ難しいことか最後のディスカッションで痛感しましたし、それがいかに重要かも理解することができました。自分も医師を志す上で、課題発見・解決策提示をしっかりとできるように常に考えていきたいと思います。(3年男子)

・今日の坪倉先生の講演会は、私がやってきたことを全て覆すようなものでした。「事実を述べるだけの発表では、いけない。自分が何を分かっていないかを知り尽くし、わかっていることとわかっていないことを言葉で表現できるようになったうえで自身が感じたことを述べるといい。」というアドバイスを受けました。今後も放射線に関する様々な活動に参加していきたいと思っているので、そういった場でこのアドバイスを生かして堂々と発表したい、と思いました。また、問題→課題→解決策と考えていく中で、ただ単にAという課題があるからみんなにはAじゃなくすればいいというような考え方、また解決策を行うその主語となるのは誰なのかということを考えなければ、君たちはその問題に本当に真剣に取り組もうとはしていないんだ、というお言葉もいただきました。その言葉は私にいい意味でかなり大きなショックを与えました。今回、坪倉先生からうけた重い一つ一つの言葉を真摯に受け止め、私の教訓としたいです。
私は今まで復興のためにはまず正しい知識を広げよう広げよう、と言ってきましたが、私達の見えないところでその行動が、反対に誰かを苦しめていることを知って、今までやって来たことが少し恥ずかしくなりました。私は、結局小さな世界観でしか復興について考えていませんでした。まずは、自分の知っている世界ではなく、知らない世界の人が復興について、福島について、放射線の問題についてどう考えているのか、知る必要がありました。客観的に、いろいろな立場の人の立場に立ったり、私が知らないそういう世界のことのお話を沢山の人から聞いたりしたいと思いました。そして、そうすることで、もっと説得力があって、どんな立場の人にとっても復興の兆しとなるようなスピーチが出来るようになりたいと思いました。 (発表した1年生)

・今回の会で自分は発表者という立場での参加となった。被災地の研修会でいろいろなことを感じた。が、それを言葉にして伝えるのはたいへん難しい作業だった。特に、バスの窓から眺めた風景や、実際にバスを降りて感じた、被災地の「雰囲気」は、書面からは感じ取ってもらえない。自分のできる限りの力でそれらを言葉へ落とし込むのが「伝える」立場の自分に課せられた義務であるのだが、その役目を十分に果たせたかと思い返せば、まだ足りないと感じる。 今回のように体験したことをまとめ、そして発表することにおいてなにより重要なことは、自分の口から発せられる情報のひとつひとつが「正しい」ものであるかどうかだ。今回のまとめを作るにあたり、西本さんや資料館の映像、そして職員の方がおっしゃったことを多く取り入れた、そのため、発表の基本は「代弁」だった。人の話を、自分が代わりに他の人に伝える。その行為が背負う責任の重さを、今回の会で感じることができた。自分の中で曖昧な部分を少しでも減らすべく、今後同じ様な研修会があったときは、なるべく多くの情報を記録していきたい。  そして、坪倉先生による講演会の内容も、今後自分たちが探求活動をしていくにあたり、大きなヒントとなるものだったと思う。  
知られていることとまだ知られていないことの境界線を、言葉にする。 この作業は、何も研究者だけが行ってきたものではない。 書店にズラリと並んだ文学作品たちは、多くの課題を「物語」という形にして、わたし達に伝え続けている。  
新潮文庫で一番発行部数の多い作品は、夏目漱石の「こころ」(701万500部)である。そしてその次が、太宰治の「人間失格」(670万5000部 いずれも2014年のデータ)だ。 なぜ、そんなにも売れたのか。これらの作品は、何を伝え続けているのか。一度、自分の目で確かめなければいけないと感じた。 (発表した1年生)

・ 東京で発表した時、聞いている人達の反応が、自分が想像していたものと実際の反応に大きくギャップがあると感じていました。会までに、その原因が何で、どうしたらいいのか考えていましたが、今日まで答えが出ていませんでした。
しかし、今日の坪倉先生の話を聞いて、やっと分かりました。自分の発表で足りていないことは、まだ分かってないことを明らかにして、自分の言葉にする、そこまで調べる、話し合う、ことです。福島に対して誤解がある、放射線の知識が不足してる、そんなことはみんな知ってる、とっくに話し合ってる。こういうことがありました、これは震災後数年は通じたけど、今はもうそんな段階は終わった。
坪倉先生の講演後に、全体のグループディスカッションで問題を課題・手段にする活動を行いました。問題はいくつかあげられていましたが、課題に落とし込むこと、ということが全く出来ませんでした。問題は、自分たちの発表が表面的。浅いこと。課題は自分の、分からないことが分かるまで、調べ尽くすこと、それを話し合って、他の人の意見を聞いたり、勉強したりすること。
先生の話を聞きながら、おっしゃっていることが、とても難しいことだと思いました。しかしこの力こそが、福島の復興のために必要なんだと、教えてもらいました。やはり自分はこれからも福島と関わり続けたいです。難しくても、調べて、考えて続けようと思います。そして、今回自分が設定した議題をもっと、上のレベルで発表出来るようにします。 (発表した2年生)

 

 ○参加者
・今夏放射線や福島復興にかかわる見学会などに参加した安積高校生徒(10名程度)
・一般参加生徒60名
・共催:福島 100 年構想委員会様、 NPO法人ドリームサポート福島様
・講師:福島県立医科大学特任教授・南相馬総合病院医師坪倉正治先生

 

 ○日程 (9:30~12:30)
① 生徒発表
 7/13 相双地区被災地見学会 (参加:1年6名、2年7名、3年20名) 
 「Present Okuma and Futaba」
 8/1~8/6 国際放射線防護ワークショップ (参加:1年4名、2年5名) 
 「フランスの高校生のホームステイについて」
 「Decommissioning and coordination ~Through relationships with people~」
 「Misunderstanding of Fukushima and the present situation」
 「The lessons from Fukushima to the world」
 8/6~15 イギリス研修・セラフィールド見学会 (参加:2年1名)   
 「What we thought in the UK」
② 上記発表者によるポスター発表+質疑
③ 坪倉先生の講演「原発23kmでの医療支援、今現場で何が起こっているか」
④ 全体でグループディスカッション「福島復興について私が考えていること」
⑤ グループ発表
⑥ 講評、お礼の言葉