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福島の復興と放射線についての授業2020

8/7に福島の復興と放射線についての授業を午後に実施しました。本校では毎年実施しています。

◎参加者
本校希望生徒40名
担当:本校物理教員
ゲスト: 福島県環境創造センター佐々木清様、黒田佑次郎様 社団法人AFW代表吉川彰浩様 南東北病院島津勇三様

 

 ◎目的
授業目標 放射線とは何か知り、福島県の現状について把握すること。そして放射線の知識を土台として、現在の福島県の課題(廃炉、除染と除染土の処理、風評被害・偏見)を科学的・社会学的に分析し、自分の意見を持てるようになること。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◎生徒の感想 

・被ばくの量は合理的に達成可能な限り減らすのが大事だと分かりました。もっと県内外に今の福島県をアピールすることが必要だと思いましたし、他県の人たちもそうですが、福島県民の私たちも実はあまりよく理解しておらず、間違った考えを持っているところもあると思うので、放射線の教育は県内外でもっと積極的に行ってほしいです。復興のために頑張ってくれている方がたくさんいらっしゃることを知り、感動しました。その方々のことももっともっと知ってもらいたいと感じました。福島県民として、原発や復興について考えていかなければならないと改めて思いました。 (1年女子)

・特に印象に残ったのは放射線とは何かという①の授業と統計を用いて被害・現状を説明していた③の授業です。③④などの授業では、グラフ・表をもとにして進めていたので、具体的、数値的なイメージがつかみやすかったです。科学的な議論とはどのようなものかも知ることができました。9月の被災地研修にて実際に見学することで、さらに知識・理解などを深めていきたいです。 (1年男子)

・後半や休憩時間に、今でも現場に関わっている人の話をたくさん聞くことができ、何とも言えないぐっと心にくる話が何回もあり、泣きそうになりました。もう福島は大丈夫、ということを訴えても訴えてもいまだに払しょくできずにいる現状を感じ心が痛みました。福島の現状について、これから僕も何かみなさんに伝えることができることができるのではないかと、この授業を通して思いました。 (1年男子)

・私は今まで、放射線を遮ることのできるものはないのではないかと考えていました。しかしα線は紙で、ベータ線はアルミニウムなどの金属で、ガンマ線やx線は鉛や厚い鉄でとめられるということが分かりました。だから棒小学校で行われていた、ペットボトルに水を入れておく、という取り組みもしっかり根拠があることが分かりました。③の授業で「放射線の影響は、生まれてくる子どもには関係ない」ことが一番心に深く残りました。講義の中で私が得たものはあまりに大きかったです。今回の講義では、放射線について学ぶことが主な目的だったと思いますが、そこで私が得たものはそのような知識のみならず、今後の人生において必ず役立つであろうヒントでした。今回しっかりとこの講義を受けてよかったです。 (1年女子)

・福島県民でありながら、まだまだ知らない知識がたくさんあるのだと思いました。特に印象的だったのが、同じ県内の高校生たちが福島県の復興のために英語論文を発表するなどの取り組みをしているということです。今の自分にできることをしていきたいと強く思いました。また、個人的に興味深かったのが、「被災地の役に立ちたい」と声を上げた医師たちが県外から駆けつけて来てくれたという内容です。今回の授業では、放射線のことだけでなく福島の復興についてなど社会的な面でも学べる内容が多く、とても勉強になりました。 (1年女子)

・私は東日本大震災を小学2年生のときに経験しました。当時母から「あなたはこの災害について未来の人に語り伝えていくことのできる最後の学年になるんだよ」と言われました。この言葉は今になっても私の心にあります。当時はピンと来てませんでしたが、今回の話を聞き、世界に東日本大震災で経験したことやこれまで福島県がやってきたこと、今の福島県について語り伝えていかなければならないんだと思いました。 (3年女子)

・私はこの授業を通して、多くの人に放射線について、福島の現状について、正しい知識を身に付けてほしいと強く思いました。他県のアンケート結果を聞いたらなおさらそう思いました。ニュースで線量だけ報道されても、どの数値だと安全で、実際に県外ではどうなのかということは分かりません。またこのくらいの線量ならば人体にはほとんど悪影響がなく、むしろ医療被曝の方が何倍も高い放射線を浴びるということもです。小中学生には数値を使って安全性をより簡単に、分かりやすく教えるべきです。また、教えるだけでなく、知ろうとする姿勢、動機付けも重要になってくると思います。それは他県でも一緒です。みんなが正しい知識を身に付けなければ、このような苦しい風評被害はなくならないのではないでしょうか。そのために必要なのは、比較ではないかと思います。他地域と比較して伝え、相手に目で見て実感させるのが大切だと思います。
実際に福島の復興のために多くの県外の人が力を尽くしているのも事実です。そこで大きな役目を果たすのは、SNSもそうですが、何よりメディアだと思います。政府の厳しい基準をクリアしていて安全で、他の地域と比較して変わらないということを強調して報道することで多くの人の努力が伝わり、少しでも人々の誤解が解け、風評被害が減ってくれること、そして福島が復興に向けて活性化していくことを望みます。 (3年女子)

・放射線について福島はもう大丈夫というのはよく聞いていたが、具体的にどう大丈夫なのかがはじめて知れてよかった。そして、様々な数値を見て、むしろ危険視する他県の方が線量が高い場合もあったりしたので、倫理で聞く「無知の知」はこういうことに対し客観的に考えるために教わった知識なのだと思った。10年もたつと意識や記憶は薄れていくが、誤認のまま薄れていくのは困ると思う。正しい知識が広まっていないということは誤認を長年信じ続けることにつながるため、永遠に誤解が解けないという事態になりかねない。全国的に再度正しい知識を教えるべきだと思う。難しいことを言われてもただつまらないだけなので、かみ砕いている説明ならだれでも理解できると思う。 (3年女子)

・現在福島復興のために様々な解決策が講じられているが、結局最も必要なのは人のつながりなのではないかと感じた。自らの利益ばかりにとらわれるのではなく、互いに支えあい、一方が大変なときには他方が支えるようにすれば、諸問題が解決の方向に行くのではないかと思う、この授業を通して、多くの人が福島県を支援してくれていることを知り、温かい気持ちになった。支援された人が人のつながりの重要性を知って別の困った人を助け、またその人が人のつながりの大切さに気付き・・・といったような連鎖反応が、国の違いや人種の違いなども超えてつながっていけばよいと感じた。 (3年男子)

 

◎授業内容 (各50分程度、授業内容は毎日同じ)

① 放射線の基礎 : 放射線の正体、単位と測定法、原発の原理
② 放射線の実験 : 放射線の性質の理解(線源の測定や距離・遮蔽実験を通して)
③ 福島の現状  : 放射線の生体への影響、現在の福島の線量や食品検査の結果
④ 福島の課題  : 現在の原発の様子と課題、風評被害とその原因
⑤ 福島の努力  : 避難指示解除地域の現在、福島の人の震災後の努力   

⑤の最後には「自分たちの子どもの世代に、東日本大震災(地震、津波、原発事故)の教訓として何を残すか」についてグループ内で話し合い、まとめました。夏休みの課外後の夕方にも関わらず、生徒たちは一生懸命に考えていました。