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SSH活動日誌

理科研究発表会 県南支部大会に参加しました

9/21の理科研究発表会県南支部大会に理科系部活動の約50名が参加しました。

午前中は講義を聴いて知見を深め、午後は理科部の複数チームが発表して堂々と研究成果を伝えていました。また、他校生徒ともお互い研究について活発に議論し、研究内容がブラッシュアップされたようでした。

2か月後の県大会に向けて頑張ってください!県大会1位は来年度の全国総文祭につながります!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9/21(土)

講師:福島大学食農学類 金子信博教授(土壌生態学)
   福島大学共生システム理工学類 島田邦雄教授(流体工学 エネルギー)

福島県立医大の放射線についてのインタビューに協力しました

9/20に福島県立医科大学の大葉先生と津山先生がいらっしゃり、本校の9名の生徒に対して福島の復興の状況や放射線の認識についてのインタビューをなさいました。今後の大学や防災の教育として何が必要かを調べることが目的とのことでした。

それぞれが自由に話すとともに、疑問点は時折大葉先生たちに尋ね、知識を改善できたようでした。また、研究手法などを学ぶよい機会ともなったようです。

最終的には会津や東京の高校生にも同様のインタビューをなさい、論文としてまとめてくださるとのことでした。

 

 

 

 

 

 

9/20(金)13:30~18:00 

主催:福島県立医科大学 大葉隆助教、津山尚宏准教授
場所:物理実験室

高校生がとらえる福島の現状と復興 -夏季休業中の研修の報告会、および討論会- を実施しました

9/7に「高校生がとらえる福島の現状と復興」-7/13相双研修・2019国際高校生放射線防護ワークショップ 報告会および討論会-を本校にて実施しました。生徒と大人を合わせて全体で80名程度が参加しました。
生徒たちのアンケートをまとめたものはこちら(201909高校生がとらえる福島の現状と復興アンケートまとめ.pdf)になります。

夏季休業中に福島の復興や現状についての諸研修会に参加した生徒たちの報告会を行い、ディスカッションを行った後、坪倉正治先生のご講演、そして全体のグループディスカッションを行いました。

坪倉先生の講演会は被災地での医療の話のみならず、最初の生徒発表、今年のSSH指定を受けて、「問題」と「課題」の違いなど課題解決のための基礎的な考え方を深く教えていただきました。
その後の全員のグループディスカッションでは「福島の問題について具体的に課題と解決策を考えること」を全体で行いました。なかなかうまく「課題」を見つけられない生徒も多く、坪倉先生から多くのご助言をいただきました。生徒たちは真剣にディスカッションを行い、語り合っていました。

参加者、特に今回発表した皆さん・・・本当にお疲れさまでした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

○生徒感想の例

・ポスター発表やグループディスカッションを通して、高校生でもできることはあって、それに興味を持っている人がいることが分かりました。また、講演会では、分からないことが分かることが一番の理解であるという言葉がすごく心に残りました。(1年男子)

・分からないことを言葉に出来ることが大切だと改めて分かった。解決策を考えることも難しいが、それよりも課題を設定することの方が難しいことだと分かった。そんな力を伸ばしていきたい。(3年男子)

・1番印象に残ったのは、坪倉先生のお話です。今まで、震災や原発について具体的な状況や取り組みを知る企画に積極的に参加してきました。その度に様々なことを学び、何が問題なのか、何ができるのかを考えてきました。しかしそれは、今回先生がおっしゃっていた「問題」に過ぎず、「課題、解決策」まで落とし込めていなかったことに気づきました。このプロセスを学べたことは、今後復興に携わるだけでなく、様々なことに生きてくると思います。坪倉先生のお話を聞けて本当に良かったです。(3年女子)

・発表会では、多くの人の考え方に触れ、新たな視点で問題と向き合うことができ、とても勉強になりました。特に海外の方の原発への向き合い方が日本人とは違うことに驚きました。全員が納得する解決策を考えるのは難しいなと感じました。 坪倉先生の講演では、自分に足りないものに気付かされました。「問題と課題」ということについては初めて指摘されたので、特に心に響きました。将来福島の復興、医療に携わるという夢に向けて、自分が何をすべきなのかを具体的に考える大きなきっかけになったし、今の自分には何ができるのか少し見えてきた気がします。これからどの分野においても、もっと様々な情報を得て学び、課題を見つけるということを実践していきたいと思います。 参加して本当に良かったと思っています。このような機会を設けてくださりありがとうございました。(3年女子)

・これから自分たちがやるべきこと、考えるべきことを知ることが出来て良かった。もっと福島について向き合っていくべきだということも学べたのは、自分にとってとても大きかった。(2年女子)

・発表者のみなさまへ。表情や言葉から、気持ちが伝わってくるような場面もあって心にぐっときました。また、実際に行って体感することの大切さを教えられたと思います。非常に良かったです。ありがとうございました。そして、研修お疲れ様でした。(1年男子)

・同世代の人たちが自分なりの考えを持っていることに刺激を受けました。また、坪倉先生のお話を聞いて、自分たちが今後どのような方向性で復興に取り組めばよいのかの見通しがつきました。(1年男子)

・夏休みの被災地研修も合わせて、まだまだ少しではありますが、福島県の現状や目指しているものを感じ取ることができました。今回坪倉先生がおっしゃっていた「分からないことがわかる」という言葉が、深く心に刺さりました。今まで「問題」の段階で止まっていた考えを、しっかり「課題」となるまで深めていくのがどれだけ難しいことか最後のディスカッションで痛感しましたし、それがいかに重要かも理解することができました。自分も医師を志す上で、課題発見・解決策提示をしっかりとできるように常に考えていきたいと思います。(3年男子)

・今日の坪倉先生の講演会は、私がやってきたことを全て覆すようなものでした。「事実を述べるだけの発表では、いけない。自分が何を分かっていないかを知り尽くし、わかっていることとわかっていないことを言葉で表現できるようになったうえで自身が感じたことを述べるといい。」というアドバイスを受けました。今後も放射線に関する様々な活動に参加していきたいと思っているので、そういった場でこのアドバイスを生かして堂々と発表したい、と思いました。また、問題→課題→解決策と考えていく中で、ただ単にAという課題があるからみんなにはAじゃなくすればいいというような考え方、また解決策を行うその主語となるのは誰なのかということを考えなければ、君たちはその問題に本当に真剣に取り組もうとはしていないんだ、というお言葉もいただきました。その言葉は私にいい意味でかなり大きなショックを与えました。今回、坪倉先生からうけた重い一つ一つの言葉を真摯に受け止め、私の教訓としたいです。
私は今まで復興のためにはまず正しい知識を広げよう広げよう、と言ってきましたが、私達の見えないところでその行動が、反対に誰かを苦しめていることを知って、今までやって来たことが少し恥ずかしくなりました。私は、結局小さな世界観でしか復興について考えていませんでした。まずは、自分の知っている世界ではなく、知らない世界の人が復興について、福島について、放射線の問題についてどう考えているのか、知る必要がありました。客観的に、いろいろな立場の人の立場に立ったり、私が知らないそういう世界のことのお話を沢山の人から聞いたりしたいと思いました。そして、そうすることで、もっと説得力があって、どんな立場の人にとっても復興の兆しとなるようなスピーチが出来るようになりたいと思いました。 (発表した1年生)

・今回の会で自分は発表者という立場での参加となった。被災地の研修会でいろいろなことを感じた。が、それを言葉にして伝えるのはたいへん難しい作業だった。特に、バスの窓から眺めた風景や、実際にバスを降りて感じた、被災地の「雰囲気」は、書面からは感じ取ってもらえない。自分のできる限りの力でそれらを言葉へ落とし込むのが「伝える」立場の自分に課せられた義務であるのだが、その役目を十分に果たせたかと思い返せば、まだ足りないと感じる。 今回のように体験したことをまとめ、そして発表することにおいてなにより重要なことは、自分の口から発せられる情報のひとつひとつが「正しい」ものであるかどうかだ。今回のまとめを作るにあたり、西本さんや資料館の映像、そして職員の方がおっしゃったことを多く取り入れた、そのため、発表の基本は「代弁」だった。人の話を、自分が代わりに他の人に伝える。その行為が背負う責任の重さを、今回の会で感じることができた。自分の中で曖昧な部分を少しでも減らすべく、今後同じ様な研修会があったときは、なるべく多くの情報を記録していきたい。  そして、坪倉先生による講演会の内容も、今後自分たちが探求活動をしていくにあたり、大きなヒントとなるものだったと思う。  
知られていることとまだ知られていないことの境界線を、言葉にする。 この作業は、何も研究者だけが行ってきたものではない。 書店にズラリと並んだ文学作品たちは、多くの課題を「物語」という形にして、わたし達に伝え続けている。  
新潮文庫で一番発行部数の多い作品は、夏目漱石の「こころ」(701万500部)である。そしてその次が、太宰治の「人間失格」(670万5000部 いずれも2014年のデータ)だ。 なぜ、そんなにも売れたのか。これらの作品は、何を伝え続けているのか。一度、自分の目で確かめなければいけないと感じた。 (発表した1年生)

・ 東京で発表した時、聞いている人達の反応が、自分が想像していたものと実際の反応に大きくギャップがあると感じていました。会までに、その原因が何で、どうしたらいいのか考えていましたが、今日まで答えが出ていませんでした。
しかし、今日の坪倉先生の話を聞いて、やっと分かりました。自分の発表で足りていないことは、まだ分かってないことを明らかにして、自分の言葉にする、そこまで調べる、話し合う、ことです。福島に対して誤解がある、放射線の知識が不足してる、そんなことはみんな知ってる、とっくに話し合ってる。こういうことがありました、これは震災後数年は通じたけど、今はもうそんな段階は終わった。
坪倉先生の講演後に、全体のグループディスカッションで問題を課題・手段にする活動を行いました。問題はいくつかあげられていましたが、課題に落とし込むこと、ということが全く出来ませんでした。問題は、自分たちの発表が表面的。浅いこと。課題は自分の、分からないことが分かるまで、調べ尽くすこと、それを話し合って、他の人の意見を聞いたり、勉強したりすること。
先生の話を聞きながら、おっしゃっていることが、とても難しいことだと思いました。しかしこの力こそが、福島の復興のために必要なんだと、教えてもらいました。やはり自分はこれからも福島と関わり続けたいです。難しくても、調べて、考えて続けようと思います。そして、今回自分が設定した議題をもっと、上のレベルで発表出来るようにします。 (発表した2年生)

 

 ○参加者
・今夏放射線や福島復興にかかわる見学会などに参加した安積高校生徒(10名程度)
・一般参加生徒60名
・共催:福島 100 年構想委員会様、 NPO法人ドリームサポート福島様
・講師:福島県立医科大学特任教授・南相馬総合病院医師坪倉正治先生

 

 ○日程 (9:30~12:30)
① 生徒発表
 7/13 相双地区被災地見学会 (参加:1年6名、2年7名、3年20名) 
 「Present Okuma and Futaba」
 8/1~8/6 国際放射線防護ワークショップ (参加:1年4名、2年5名) 
 「フランスの高校生のホームステイについて」
 「Decommissioning and coordination ~Through relationships with people~」
 「Misunderstanding of Fukushima and the present situation」
 「The lessons from Fukushima to the world」
 8/6~15 イギリス研修・セラフィールド見学会 (参加:2年1名)   
 「What we thought in the UK」
② 上記発表者によるポスター発表+質疑
③ 坪倉先生の講演「原発23kmでの医療支援、今現場で何が起こっているか」
④ 全体でグループディスカッション「福島復興について私が考えていること」
⑤ グループ発表
⑥ 講評、お礼の言葉

SSH文化講演会

8月30日(金)に、135周年紫旗祭の一環として、SSH文化講演会を開催しました。講師に公立はこだて未来大学教授の美馬のゆり先生をお迎えして、「自分の未来、社会の未来をデザインする。」をテーマにご講演いただきました。「異文化理解」「2030年の教育」「学習スタイル」などについて、先生のご経験や海外の事例を交えてお話いただきました。講演の結びで、生徒達に向けて「魔法の杖を持つ」「バスが来たら乗る」という2つのメッセージをいただきました。「学び続ける力」という魔法の杖、そしてチャンスが到来したならば、それを逃さずに行動する。 質疑応答の中でも、「バスに乗ることで、新しい景色が見えてくる。」「頼まれたことがあれば、頼んだ人の想定の倍を超える仕事をする。」「社会の変化とともにリーダー像も変容している。」「学校の勉強の中でも、メタ認知を意識して学習することは十分に可能である。」等々の、非常に示唆に富むお話を伺うことができました。講演終了後も、数名の生徒が出発の間際まで、先生に熱心に質問をする姿が見受けられました。今回の講演を通して、生徒自身も「学ぶ」ことの意義をより深く感じたことと思われます、是非今後に活かしてほしい思います。

フィールドワーク報告会

8月21日(水)7校時、フィールドワーク報告会を各クラスで行いました。フィールドワークでは、研究機関や企業などに赴いて、専門家のお話を伺ったり、施設を見学したりしました。フィールドワーク先の選定、訪問日時の相談、訪問、礼状の作成など、すべての過程を生徒が主体になって進めました。報告会では、フィールドワークの成果を班ごとに発表しました。まだ発表に不慣れな点は目立ちましたが、各班とも真摯に取り組んでいました。

スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会

8月7日(水)・8日(木)に神戸国際展示場(兵庫県神戸市)で開催された、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)生徒研究発表会に参加しました。これは全国のSSH指定校218校、海外10の国や地域から招待された23校が一同に会して、研究の成果を発表するものです。今年は本校生物部の2年生3名が「天然酵母の研究」をテーマにポスター発表を行いました。生徒達はやや緊張しながらも、しっかりと発表を行い、審査員の先生方や来場者からの質問にも的確に答えていました。自分たちの発表を行うだけでなく、他校の優れた研究に触れることもでき、大いに有意義な2日間を過ごしました。生徒研究発表会で学んだことを、今後の活動に生かしたいと思います。

2019国際放射線防護ワークショップを開催しました (2/2)

7/31~8/6まで本校が主管となって、県内外及びフランスの高校生と"2019国際放射線防護ワークショップ"を開催しました。後半の8/5から8/6までの部分を記します。

目的等は前半https://bit.ly/33fhVZkを御覧ください。

後半の新聞記事はこちらです。20190806放射線防護WS(民報).jpg 20190807放射線防護WS(民報).tif

 

8/5(月) いわき、大熊、楢葉・富岡

午前は中間貯蔵施設を見学しました。規模の大きさや工事の緻密さを見て、現在行われている中間貯蔵の全体像を学びました。

午後は東京電力福島第二原子力発電所の視察を行いました。冷温停止し燃料も取り出されている2号機に入らせていただきました。(安全のためタイベックスーツを着用しましたがほぼ全員0.00mSvの被ばくと表示されていました)

夜は放射線防護ワークショップ用のポスター作成の続きを行いました。

・生徒感想
「福島第二原子力発電所への見学で、事故当時の第二原子力発電所と第一原子力発電所の違いを知ったり、現在の第一原子力発電所の状況をイメージしやすくすることができました。またタイベックスーツを着用し、作業員がどれだけ暑い状態で働いているのかを実感しました。 」(1年男子)
「中間貯蔵施設の大きさが村が約1個分だということを知ったときはとても驚きました。中間貯蔵施設も福島第二原子力発電所もどちらも徹底した安全管理がされており、ほとんど僕的には、安全のように感じました」(1年男子)

 

8/6(火) いわき、東京      

朝ホテルを出発し、昼に衆議院第一議員会館に着きました。1階国際会議室にてプレゼンテーション、ポスター発表を行いました。ポスターは安積高校で4枚、他校も含めると9枚でした。省庁の方や一般の方を合わせて30人を超える聴衆に向かい、生徒たちは6日間で学んだことをまとめて発表しました。その後各ポスターの前でディスカッションを行いました。

閉会式ののち国会議事堂を見学し、解散しました。新幹線で福島へ戻り、夜に郡山に戻りました。 

・生徒感想
「私は、ワークショップの事前研修である相双地区被災地研修について発表しました。人生で初めてのポスター発表で緊張しましたが、自分の見てきたことを伝えられてよかったです。とてもいい経験になりました。」(1年男子)
「私は班のみんなと放射線防護ワークショップのまとめのポスターを作りました。なかなかすぐに作ることができませんでしたが、みんなで協力して完成することができました。発表は緊張しましたが、なんとか成功させることができてよかったです。全体を通してとても楽しい6日間を過ごすことができました。」(1年男子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


最後に、生徒の制作したポスターを載せます。前半2つは2年生が、後半2つは1年生が作成しました。プレゼンテーションの際は英語を交えつつ(2年生はAll English)発表しました。後半2つの1年生の作成したものは、1枚目が本ワークショップのまとめ、2枚目が7月に行われた相双地区被災地研修のまとめです。

2019国際放射線防護ワークショップを開催しました (1/2)

7/31~8/6まで本校が主管となって、県内外及びフランスの高校生と"2019国際放射線防護ワークショップ"を開催しました。概要と8/4までの内容を記します。

 新聞記事はこちらです。 20190804放射線防護WS(民報).tif 20190805廃炉フォーラム(民報).tif 20190805廃炉フォーラム(民友1).tif 20190805廃炉フォーラム(民友2).tif

 

◎目的

風評を恐れていまだに再開できない漁業の現状、原子力発電所の廃炉、除染土の中間貯蔵と再利用、急激に高齢化の進む避難解除地域の復興をどう進めていくかなど、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故後の福島が抱える課題の解決には長い時間がかかると予想されます。

このワークショップは、福島の高校生が実際に県外海外の高校生とともに被災地を訪れ現時点での福島の状況を放射線防護の視点で学ぶことを目的として実施して毎年行われていました。今年度はさらに、学んだことを県内外に向けて発信するとともに、震災後の福島復興の課題を学ぶテキストを作り上げることを目標としました。

 

◎参加者

安積高校(主管):生徒9名(1年4名、2年5名)
福島高校:生徒8名、ふたば未来高校:生徒2名、東京都立戸山高校:生徒5名、Lycée Notre-Dame:生徒5名
協力:NPO法人ドリームサポート(菅野様、阿部様)
講師:立命館大学衣笠総合研究機構特任准教授 開沼博氏
   フランス原子力防護評価センター(CEPN) テリー・シュナイダー氏

 

◎日程

7/31(水)の夜にLycée Notre-Dame(フランス)の生徒と安積高校の生徒が対面し、安積高校生宅にホームステイしました。

 ・生徒感想「今回始めてホームステイを受け入れて、外国人とのコミュニケーションをとる難しさやもどかしさを感じました。相手も高校生ということで互いの文化の違いや共通の趣味などについて話したりして、言語が多少伝わらなくてもジェスチャーや相槌などでトークタイムを楽しむことができました。またこのような機会があったらどんどん参加したいです!」(1年女子)

  

8/1(木) 三春、いわき    

午前中はそれぞれがフランスの生徒と観光しました。

昼に郡山駅に集合し、コミュたん福島で原発事故の概要と復興の状況を学びました。夜にはテリー・シュナイダー氏による、今回の原発事故の避難の状況とそれに対する諸外国の評価などのレクチャーを受けました。

 ・生徒感想「午前中は、ホームステイで来たフランス人と一緒に駅前を観光しました。彼は学校で、日本語や神道の歴史、日本の文化について勉強していたそうで、日本のことをよく知っていて驚かされました。夜のシュナイダー先生の講義では、専門家の意見を聞くことができて、とても勉強になりました。特に賠償金問題は目から鱗でした。」(2年男子)

  

8/2(金) いわき、広野、富岡、大熊・双葉、楢葉     

ふたば未来学園にて開沼先生を始めとする先生方のレクチャーを受けたあと、東京電力廃炉資料館にて事故の概要や廃炉の状況を学習しました。その後実際に東京電力福島第一原子力発電所の視察をしました。

夜は楢葉町のホテルしおかぜ荘にて廃炉フォーラムに参加するメンバーと合流し、宿泊しました。廃炉フォーラムに参加するメンバーは、県内県外から約30名集まっていました。

 ・生徒感想「開沼先生の『福島で起こっていることは最先端であるために複雑で、しかし、やりがいがある。』との強いお言葉に、心を打たれました。また、1Fを視察して、廃炉まで3,40年かかることに納得がいきました。やはり、福島で起こったことは福島の人だけで解決できず、また、将来のために、そうするべきではないと思いました。」(2年女子)

  

8/3(土) 楢葉、浪江、大熊、富岡

午前中は開沼先生の案内により、被災した地域の現状と除染の状況を学びました。天神岬、浪江町大平山霊園、大熊新庁舎、夜の森の桜並木付近の帰還困難区域、リプルン福島を訪れました。午後は市川秀樹氏による「田んぼアート」、佐藤優樹氏(日本原子力研究開発機構)による「1F廃炉に向けた研究開発の取り組み」、鈴木伴承氏(福島イノベーション・コースト構想機構)による「福島イノベーション・コースト構想について」、柴山貴将氏(ふたば地方町村会)による「双葉地域の未来ビジョン」のご講演を受けました。

その後廃炉フォーラムのためのポスター制作を夜中まで頑張って行いました。4つのテーマ「廃炉で発生する廃棄物の処理」「廃炉を進めるうえでいかに地域への産業集積などの土壌を育てるのか」「廃炉に費やされる費用や時間の最適化」「廃炉についての情報発信の在り方の革新的な変化」に分かれて、各グループで専門家に相談しつつ考えていました。

 ・生徒感想「私は、午後のディスカッションがかなり印象に残っています。自分の班の意見が2つに別れてしまい、なかなか議論が進まなかったからです。なんとかまとまりましたが、かなり大変だったことを覚えています。そして、その経験から、改めて福島県の抱える問題の難しさを改めて感じました。」(1年男子)

  

8/4(日) 楢葉、富岡、いわき

富岡学びの森にて廃炉フォーラム学生セッションにおいてポスター発表を行いました。県内県外のメンバーが集って作ったポスターは大人顔負けで練り上げられており、大変充実した内容でした。講評を山名元氏(原子力損害賠償・廃炉等支援機構 理事長)、ウィリアムDマグウッド4世氏(経済協力開発機構/原子力機関 事務局長)にいただき、メンバーたちはお褒めの言葉をいただきました。

午後は廃炉フォーラムのメインプログラムに合流し、本校の2年生が福島県の高校生代表としてパネリストとして登壇しました。福島第一廃炉推進カンパニーの小野明様を始めとした東京電力様や官庁の方々と市民パネリストの討論の中で、堂々と自分の意見を言っていました。

 夜は再び放射線防護ワークショップのメンバーだけに戻り、フランスの生徒たちが主導でレクリエーションを行ってくださいました。その後、学校ごとに別れて今度は東京での発表に向けて放射線防護ワークショップ用のポスターの作成を行いました。

 ・生徒感想「廃炉フォーラムのイベントに参加しました。前日のポスター作成で全く結論が出ず、当日の作成になりました。当日も班の中で2つの意見に分かれて、なかなかポスターが完成しませんでした。しかし、発表直前に意見が一つにまとまり、なんとか完成しました。発表は成功したので、良かったです。また、語り合うセッションでは多くの意見が聞けて楽しかったです。」(1年男子)

福島の復興と放射線についての授業

7/24~26まで福島の復興と放射線についての授業を午後に実施しました。本校では毎年実施しています。

  

◎参加者

本校希望生徒50名

担当:本校物理教員
ゲスト: 南相馬市立総合病院 坪倉正治先生(7/24のみ)

 

◎目的

授業目標 放射線とは何か知り、福島県の現状について把握すること。そして放射線の知識を土台として、現在の福島県の課題(廃炉、除染と除染土の処理、風評被害・偏見)を科学的・社会学的に分析し、自分の意見を持てるようになること。

 

◎授業内容 (各50分程度、授業内容は毎日同じ)

① 放射線の基礎 : 放射線の正体、単位と測定法、原発の原理
② 放射線の実験 : 放射線の性質の理解(線源の測定や距離・遮蔽実験を通して)
③ 福島の現状  : 放射線の生体への影響、現在の福島の線量や食品検査の結果
④ 福島の課題  : 現在の原発の様子と課題、風評被害とその原因
⑤ 福島の努力  : 避難指示解除地域の現在、福島の人の震災後の努力   

⑤の最後には「自分たちの子どもの世代に、東日本大震災(地震、津波、原発事故)の教訓として何を残すか」についてグループ内で話し合い、まとめました。夏休みの課外後の夕方にも関わらず、生徒たちは一生懸命に考えていました。


また、7/24は南相馬市立総合病院坪倉正治先生が特別に来校してくださり、震災直後の状況などをお話いただきました。
事故後4か月でホールボディーカウンターを準備したこと、でも測定できる人数は限られていて極限の状況だったことなど、
現在の「安心が当たり前」な状態に至るまでの経緯などの貴重なお話を、参加者は関心を持って聞いていました。

 

生徒の感想を一部載せます。 

・福島でどのような努力をしているのかを改めて知ることができた。福島で起こったことが「悪い風化」を受けずに記録・記憶として残るとよいと思った。自分は探究のテーマを「復興」にしているので今回の授業を役に立てて探究を進めていきたいと思った。 (1年男子)

・それぞれの意見があったが、自分でしていきたいことはみんな「語り継ぐ」ことだった。小学生にどうやって教えていくかとても難しいと思うけど、福島県内だけではなく県外の小学生に正しい知識を伝えていきたい!何より愛する福島の正しい現状を知ってほしい! (1年女子)

・浜通りに絶対行きたい。そして、福島県に生まれたからこそ福島のことを大切にして、福島のために働きたいと思った。 (1年女子)

・福島県が食材などにしていた努力を知ることができました。農家さんたちが大変苦労し努力していたことに感動しました。今でもそういった努力が知られず、誤った情報が出ていますが、私はこの授業で得た知識を、県外の友だちや、旅行で胸を張って正しい情報として発信したいです。 (1年男子)

・モニタリングポストの問題は難しい問題だと思う。国は取り払おうとしても、周囲の住民からしたら心配や不安の面もあるので、簡単に取り払うことができず、社会的に考えることを要求されていると分かった。 (2年男子)

・私は福島県で生きていて、「復興」という言葉を聞きながら、私たちの安全のための放射線の測定・検査を当たり前のように考えていたけど、そこには多くの人のとてつもない努力があり、私たちの「安心な福島」を作っていることを知りました。(中略)福島といえば「原発」「放射線」と考えがちですが、福島の問題は放射線だけではなく、むしろ精神面や今後どう復興していくかなど、単に放射線を避け検査を続ければよいということではないことにはとても驚かされました。そして、風評被害はとても深刻な問題です。福島にいる人でさえ正しく理解できていないのが現状で、他県や他国が福島の安全性について知るのは難しいかも知れません。人はあくまで1人の人間で、やはり自分自身のことを考えると、福島を避けてしまうのもわからなくはありません。でも、これからもいろいろな形で情報を発信するとともに、私も今日学んだことを伝えていきたいと思います。多くの人の努力の結晶である福島の今を論理的なデータを通して伝え、人々が求める心理的な安心を満たせばよいと思います。私は福島で震災を経験しましたが、自分では震災・原発の影響を強く感じることはあまりなく知識も希薄でした。しかし私は、私の立場で福島についてとらえることができると感じるようになれました。もちろん被災者のみなさんの経験は想像を絶する比べ物にならないものだということは確かです。でも、考え方を少し変えれば、私のように「大丈夫だった」福島県民も大勢いて、震災・復興について最も学びやすい環境にあるということだと思います。

また、自分が思っていることと現実は時に異なり、(原発の誤解のように)物事を自分の目でしっかり見極めることの重要性は肌で感じられます。このように、福島でこの経験をしたことはかえって「チャンス」といえると思いました。これをきっかけに福島や自分をとりまく世界のことを見つめなおして自分のできる行動をしていきたいです。
(2年女子)

・原発が必要か否か、原発建屋のがれきはどう処理するのか、中間貯蔵は本当に中間なのか、処理水はどうするのか、例えば100年後もろもろの処理が済んだ後、あの土地の利用、経済、地域社会をどうしていくのか、まだまだ考えても考えきれないものが多々あると、改めて実感した限りです。 (2年男子)

・この授業を聞いて、あまりにも自分の知識が少ないと思った。もっと、正しい情報を県外の人に知ってもらいたいし、県内の人も「放射線」についてだけではなく、「福島」についても知るべきだと思う。本当にたくさんのことを知れてよかったです。 (3年男子) 

・正しい情報を伝えたことに対する批判があったということを初めて知り、それでも強い意志を持って伝え続けていきたいということに感動を覚えました。私が今できることは本当にごくわずかかもしれないけれど、今後社会に出たときに、浜通りのために、福島県のためにできることを自ら発見し、積極的に行動していきたいと思いました。 (3年男子)

・実は僕は  から避難しています。(中略)放射線についてもこのような境遇だからこそ人よりも少しは関心があり、知っていると勝手に思っていましたが、今回の授業を受けてまだまだ知らないことがあることに気づかされました。検査やモニタリングポストについても深く考えさせられました。風評被害についても本当に心が痛くなりました。農家や漁業に従事している人の努力と苦しみを知り、もっともっと社会にその努力と安全性を知ってほしいと感じました。また、「福島」という地にまだまだ誤解が多くあることも悔しいです。(中略)復興は簡単ではありません。そんな中でどれだけ努力してきた人がいるか、苦しんできた人がいたか、どういう問題があるのか、福島にいる限り、いや福島にいなくても知るべきだと強く思いました。そのためにもこの授業は非常に意義のあるものだと思いました。この授業で学んだことを周りの人にも伝えて、もし誤解している人がいたら正しいことを教えてあげ、福島を守っていきたいです。福島に生まれたこと、生きてきたことを本当に誇りに感じます。そしていつかはどんなに変わってしまっていても、やっぱり故郷は故郷、  に絶対帰りたいです。 (3年男子)