SSHブログ

SSH活動日誌

令和4年度東北地区サイエンスコミュニティ研究校発表会

令和5年1月20日(金)午後~21日(土)の日程で、令和4年度東北地区サイエンスコミュニティ研究校発表会(令和4年度東北地区SSH指定校課題研究発表会) を本校主幹で開催いたします。視察などの希望がございましたら、下記PDFファイルをご覧の上、お申し込みいただければ幸いです。

R4東北SC開催要項(視察用).pdf

SSHドイツ海外研修(エッセン交流事項)について

2022年12月10日(土)~12月15日(金)の日程で、本校代表生徒12名と教員3名が、ドイツ連邦共和国エッセン市を訪れました。

郡山市との連携により3年前から始まった交流事業でしたが、新型コロナウィルス感染症蔓延により、Zoomを用いた交流しかできない状況が続いていました。今年度も、当初は渡航をしての交流は難しそうな社会情勢でしたが、水際対策が少しずつ緩和される中、郡山市をはじめ、本校PTA、桑野会、桜桑会のご支援もあり、事業の実施までこぎ着けました。

今回はエッセン市のGymnasium am der Wolfskuhle(ウルフスクーレ学校)に受け入れていただき、文化交流や合同学習会、ホームスティやクリスマスマーケットでのフィールドワークなど、色々な面でお世話になりました。Paus校長先生をはじめ、多くの先生方と生徒の皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。

最終日のお別れでは、帰りの飛行機の時間が迫る中、男女ともに涙を流しながら別れを惜しむ姿が見られ、何物にも代えがたい貴重な経験ができたことと思います。また、コロナ禍にあっても、予定通りのスケジュールで行程を終えることができたのは、本当に幸運なことでした。関係者の皆様に心から御礼申し上げます。

こむこむ館 サイエンスフェスティバル

 12月10日(土)は、福島市の児童文化施設こむこむ館で開催された「サイエンスフェスティバル」に参加しました。
 「サイエンスフェスティバル」はこむこむ館と福島高校が主催する、子どもたちのための工作実験体験の催しで、2012年に始まり今年は11回目を数えます。今回は15ブース+実験教室2つでの開催となり、コロナによる中断後3年ぶりにようやく以前の規模に近づいての開催となりました。
 
 安積高校からは物理部・生物部、化学部、地学部が参加し、「ライデン瓶でビリビリ」「化学であそぼう」「液状化現象と鉱石びんをつくろう」の3つのブースを出展しました。
 コロナの現状や、中断の影響が心配されましたが、1日で1000人を超える集客となり、工作実験体験の人気の根強さを見る思いでした。

 

起業家精神講義 3年SSアカデミーⅡ

 12月2日の3年生のSSアカデミーⅡの授業内容は、「アントレプレナーシップ(起業家精神)講義」。
本校OBで、岩谷技研代表取締役社長 岩谷圭介さんをお招きした講義でした。

 

 岩谷さんは、幼少から宇宙ロケットを打ち上げたいと夢み、子どもの頃は映画「Back to the Future」でタイムマシンを作った科学者ドクの姿に憧れてきたとのこと。しかし、ちょうど安積高校生の頃、「10万点を超える部品からなる宇宙ロケットを一人で作り打ち上げられるはずがない」と自分の夢に望みを失い、やる気も無くして成績も急降下、親や担任を心配させた。

 それでも、ロケットエンジンの研究ができるかもしれないと北海道大学工学部に入学。宇宙への期待と失望を繰り返したのち、4年次にバルーンで宇宙に行く可能性に気づき、以来一貫してバルーンでの宇宙旅行を目指して研究開発を続けてきました。最近「数年以内に実現できる見通しができた」とのことで、さまざまなメディアにも取り上げられています。
 一方で在学中に企業した会社は現在、社員60名資産価値25億円にもなり、1000億円の会社を目指して、社員一丸で頑張っているとのことでした。
 
 岩谷さんは前半で、どのように起業しどうやって会社を大きくしてきたかについてのお話をされましたが、難しい経済用語が並び理解の追いつかない生徒の姿を見て講義を休憩。後半は一転して学生時代をどう過ごしたかのお話をされました。さまざまな経験をされて曲折もありながら、一貫して宇宙にこだわって一歩ずつ歩みを重ねる姿からは、宇宙へ強烈な情熱と、強い精神力を感じるお話でした。
 
 講演後に多数寄せられた生徒の質問は、全てが起業に関することであり、起業にこれほどの関心を寄せているのだと、改めて生徒の思いに気付かされた授業になりました。次年度のカリキュラム作成の参考にします。

放射線影響研究所訪問(137期)

12月5日、137期の修学旅行2日目に

2年SSクラスは広島の放射線影響研究所を訪問しました。

 この研究所は、日本への原爆投下後の広島・長崎での放射線被ばくの影響について

調査している機関で、その研究成果は世界的な放射線防護基準とされています。

研究所の方々から研究所の概要や疫学的研究の手法を聞き、生徒たちからは

多くの質問が出されました。短い時間の中で活発な議論がなされ、充実した時間を過ごしました。

【生徒感想】

・今まで教科書で表面的にしか学んでいなかったことを、研究員の方々からより深く教わることができる貴重な経験だった。(R.T)

・この研究所は被爆者のために尽力している施設だと実感しました。放射線の人体への被害について科学的に追及しながら、被爆者の心に寄り添う姿勢に感銘を受けました。世界の国々が参考とする資料を作成し、放射線による影響を次の世代にまで調べ尽くそうとしていることに驚きました。(R.M)

・原爆の問題は依然として日米双方のセンシティブな話題ではありますが、科学的に正しい知識を学ぶことで、その歴史についての誠実な捉え方をすることができると思います。今回は、こうした問題に対して私たち学生が真摯に向き合うための貴重な機会となりました。講義してくださった放影研の方々に感謝申し上げます。(K.N)

 

 

 

 

福島県高校生徒理科研究発表大会2022に参加 受賞

生物部・化学部・物理部・地学部・二年生SSクラス生徒が生徒理科研究発表会に参加しました。県南大会は10月1日(土)安積黎明、県大会は11月19日(土)20日(日)原町高校にて開かれました。

 

 

 

 

 

 

 

 本校からは合計14班が出場し、それぞれが日頃の研究の成果を発表しました。

  

生物部
・「朝河桜」から単離した天然酵母の製パン適性 (生物部門優秀賞、県3位)
・オリジナル麹菌の活用 (同5位相当)
・水耕栽培によるカンゾウの発根実験 (ポスター部門5位相当)

 物理部
・自分の声のセルフ診断を可能に (物理部門優秀賞、県3位)
・衝突防止パラグライダーの開発II (同4位)
・重力加速度の測定に関する研究 (同5位)

 を受賞しました。

 

他校の生徒とも研究を通して交流し、実りある研究発表会となりました。
受賞した諸君はおめでとう!
一年生は来年ぜひよりよい成果を残してください!

SSHクラス SSアカデミーⅡ 「微分方程式」

10月5・19日(水)の2日間,3年7組(SSクラス)に対し、数学の特別授業が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


微分方程式と微分積分を用いて生物・物理の本質を理解する目的で開かれ、本校の数学教師が授業を行いました。

物理の「単振動の式」「ケプラーの法則」「原子核の放射性崩壊」「ポアソンの公式」、
生物の「ロジスティック方程式」「マルサスの法則」「ロトカ・ヴォルテラの方程式」
を取り上げました。

本校ではこのように、教科融合の内容を通して生徒の科学的な力を育んでいます。

実験観察特別授業(2年SSアカデミーⅡ 物理)

 10月27日の2年生のSSアカデミーⅡの授業で,実験観察特別授業が行われました。
 
SSアカデミーⅡは,2・3年生のSSクラスの生徒が履修している学校設定科目で,理科・数学・情報・英語などの内容が盛り込まれた安積高校独自の授業です。
 
 実験観察授業は,4校時連続で実施される授業で,じっくりと時間かけて実験観察をするというもので,1コマではできない内容の実験や観察を行うものです。
 
 このうち物理選択者は,スマートカートを用いた力学実験に取り組みました。

 スマートカートは,力・位置・速度・加速度センサを内蔵した力学台車です。センサーで取得したデータはリアルタイムでタブレットに送信され,タブレットのアプリ上で直ちにグラフ化して表示できるというものです。

 
 
島津理化のHP(https://www.shimadzu-rika.co.jp/products/ict/measurement/wireless_sensor/101_350.html)より
 
 今回の授業では,班ごとに自由に実験内容を決めることとし,
  4校時(装置の説明・使用法確認),5校時(装置に慣れ実験の決定),6校時(データ取得と発表準備),7校時(発表),というタイムテーブルで実施しました。
各班のテーマは次のとおりです。
 ①問題集の装置をもちいた動摩擦係数の測定
 ②衝突における作用反作用の法則の検証
 ③斜面を用いたどう摩擦力の測定
 ④衝突における運動量保存の法則の検証
 ⑤生徒実験台の傾斜角の測定
 ⑥運動の法則・運動量保存の法則の検証
 ⑦両側にばねがある減衰振動
 
 それぞれ自分で必要な機材をセットして実験に取り組みましたが,班によっては思い通りの動きを作り出せず,データの取得に苦労する班も現れました。しかしどの班も時間内にまとめ上げ,その後発表を行いました。
 
 


 下のグラフは発表の一例で,生徒実験台の傾斜角の測定のデータです。
 生徒によると,得られた加速度の平均値から求めた傾斜角は0.5度ということでした。
 
 9回繰り返された実験のグラフはどれも加速度が振動しており,なぜこのようなグラフになったのか,興味深い。この振動が机面によるものか,それとも測定によるものなのか知りたいところです。
 
 また,v-tグラフの傾きも一様ではなく段々と緩やかになっており,これが机の傾きの変化よるものならば,場所を変えて実験するとどうなるのか,結果を見たいところでした。
 物理実験では,測定値の代表値として平均値を求めることが多いのですが,データをグラフ化することで色々な情報を読み取ることができます。
 これまでの実験ではデータを取得してグラフ化することに,殆どの授業時間を費やしてしまいましたが,スマートカートのような測定装置を使用することによって,測定値からさまざまな情報を読み取る力を高める授業が展開できるのではないか,との教師の期待も高まりました。

(以上)

情報技術研修Ⅰ(1年生SSクラス希望者対象)実施

 10月22・23日(土・日)の2日間,1年生の2年次SSプログラミングやデータ処理に関する特別授業が行われました。
 
 本校では2年次にSSクラスが編成され,課題研究はじめSSアカデミーⅡなどを通して,科学研究の進め方や発表手法などについて学習を深めています。今年からは1年生のSSクラス希望者にも,少しずつSSHらしい学びの場を提供する取り組みを始めています。
 
 研修の講師は,辻康博さん(本校OB,元Microsoft, 現Azutech),胡口敬郎さん(磐城高校OB,Microsoft)のお二人。2020年よりSSアカデミーの授業で講師をお願いしてきましたが,今回「プログラミング的思考を身につける」ことを目標に,1年生37名に2日間計14コマの研修が行われました。

 東京多摩市にお住まいの辻さんは,2012年から休日に子どもたちにプログラミングを教える活動をされています。本校がSSHに指定されたのを機に,生徒に「プログラミング的思考」を獲得することの大切さを伝えたいと,当時同僚でMicrosoft福島県人会に所属する胡口さんといっしょにボランティアとして高校生の支援をしたいと連絡をいただき,この研修につながりました。
 
 今回の内容は,
①コンピュータプログラミングの基本を学ぶ
②Scratchを入門としてアプリケーション開発をしてみる
③Micro:Bit2をもちいてIoT (Internet of Things) を実装してみる
④2人1組チームで社会問題解決をプログラミングで実装してみる
⑤全員で課題について発表する
というものです。
 
 
 
 
 1日目は,①〜③についてとりくみ,④の課題についての説明と,グループごとに課題の打ち合わせを行いました。また,社会課題以外にも,胡口さんから,2つの数の最大公約数と,最小公倍数を求めるプログラムをScratchで作成する,という課題も出されました。
 2日目は,初日の復習の後,グループごとに課題に取り組み,午後からグループ発表を行いました。
 
 課題は以下の(1)(2)のいずれかで,発表形式は次のとおりでした。
(1)身の回りの課題・社会問題の解決など、自ら設定した課題の解決策をプログラミング的に考え、プログラムを開発する
(2)2つの数字の最大公約数と最小公倍数を計算するプログラム
 
 発表の一部をタイトルのみ紹介すると,
①数学の本に出てくる不等式の誤植の有無を確認するプログラム
②一緒に遊ぶ友達同士の予定のマッチングアプリ
③毎朝の服を選ぶ時間の節約アプリ
④イナゴと米と殺虫剤のシミュレーション
⑤現品在庫確認管理アプリ
⑥戸締まり確認装置
⑦勉強の計画を立てるアプリ
⑧ゴミの分別アプリ
⑨購買や自販機の在庫の状況の把握
⑩一人でアウトプット勉強がしたい
⑪趣味共有アプリ
などがありました。
 
 2日間合わせて14時間の授業でしたが,全員が集中を切らさず最後までよく頑張り,内容的にもとても良く,講師の先生からもたくさんのお褒めの言葉をいただいた,課題発表となりました。
 
(以下生徒の感想です)
○プログラミングを学べた。予想以上に難しく、もっと挑戦してみようと思った


○目標向かって、計画を順序立てられる思考を学んだ


○スクラッチなどのプログラミングの大事さがわかってよかった。


○Scratchなど、今まで自分が知らなかったプログラミングについて詳しく知ることができた。また、今回を通してプログラミングに興味を持つことが出来た。


○はじめてプログラミングをしたけれど、少しだけどわかって楽しかった。


○なにげに自分で簡単にやっている動作が、プログラミングで起こすと、難しいと思った。思考の可視化を日頃していきたいと思った。


○今までこのようなプログラミングのプロセスは自分に無縁だと思っていたけれど、研究や問題解決に大いに役立つことが分かり、積極的に取り組んでいきたいと思いました


○今まで数学などで学んできた内容を応用して、様々なプログラミングをすることが出来ることに感動した。


○先生や講義を受けた同級生からさまざまな自分にはなかった発想を知ることができた。


○今まで触れてこなかったプログラミング的思考にふれ、最大公倍数や最小公倍数などの簡単なことでも細分化するのは難しいことがわかった


○プログラミングの重要性は以前から知っていたが、一度も勉強をしたことがなく、今回の授業を通してプログラミングに触れることができてよかった。また、スクラッチを用いて数学の問題を考えることができ、面白かった


○スクラッチを使ったことはあったが、計算にも用いれると聞いて興味深かった。将来、ビックデータの活用ができないと波に乗り遅れてしまうと思うので、今から勉強していきたい。また、Unityでゲームも作りたい。


○プログラミング的思考を学んで課題を細分化することで解決しやすくなることを学んだ。scratchに初めてちゃんと触れて様々な指示があることに驚いた


○プログラムを学べば、改善したい問題をほぼ全て解決できると実感しました。今回はscratchやMicro bitなどの比較的簡単なプログラミングソフトで学びましたが、プログラマーが使っているような本格的なプログラミング言語も学びたいです。


○プログラミングといっても、一概に文字を打ち込むものだけじゃないのだと気づいた。


○いわば筋道立てて考えるという考え方について、改めて目視することができた。自分は0→1を考えるのが結構好きだということに改めて気づいた。


○プログラミングというと難しいというイメージがあり手を出しづらいと思っていたが、Scratchやマイクロビットのようなもので手軽に始められることに気づくことができた。プログラミング的思考についても上手く活用すれば問題解決に繋がることが分かった。


○プログラミングの方法やプログラミング的思考などについて知ることができた。これからの生活やテストの問題などに活用していきたい


○簡単なプログラミングでもさまざまなことができることが分かりました。AtCoderに参加してみたいと思いました。


○プログラミングと数学がかなり近いということがわかった。また、今まではプログラミングはセンスが大事だと思っていたが、基礎知識があれば誰でもできるという言葉が印象的だった。


○問題を細分化すること。統計データの扱い方


○自分の頭の中の処理をプログラムに起こすのは難しいことがわかった。これを参考に、自分の考えをまとめることを意識して生活していきたいと思った。


○スクラッチで計算するという考え方にとても感銘を受けました。スクラッチはやったことがあったのですが、計算するということを考えたことはありませんでした。とても面白かったです。


○scratchとMicro:bitの使い方を学ぶことできた。また、1つの課題で考えてみてもアルゴリズムは複数あって、様々な視点から考えることができた。


○プログラミングの重要性,プログラミングの身近さ,データ解析の方法。


○プログラミングのスキルは今後、世界でかなり重要なスキルなって行くことが分かりました。なにかを作るためには、常日頃から課題を意識して探したり解決方法を見つけていかなければならないと思いました。


○そもそものプログラミングの知識がなかったので、授業で話されたこと全てが新鮮なものでした。scratchやmicro bitなどでプログラミングの基礎的な部分を知ることができました。


○ソフトウェアの開発には、予期せぬトラブルや失敗もあるし、仕様変更を迫られることもあり、一筋縄では行かない大変な仕事だと思った。問題を解決するために、1つ1つ工程を分解して考えることが大切だと学んだ。


○私は以前中学校の技術の授業で少しいじっただけだったので今回scratchやマイクロビットを使ってみてプログラミングの難しさを知ることができた。また、解法のアルゴリズムを考えるのが難しかった。


○自分の頭の中ではわかっていても、それをプログラミングするのはとても難しいことだとわかりました。課題を考えて、さらに課題が生まれたのでもっと深く突き詰めていきたいと思いました。Excelの使い方など興味深い話を聞けたので、今後の課題研究に生かしたいと思いました


○プログラミングでの効率は普段効率のために省いて考えない過程をよく考えることで突き詰めることができるのかなとおもった。普段とは違う視点で考えないといけなくて大変だった。また、わたしたちの班は課題を見つけるのに手間取ったので普段から身の回りの改善したいこととかを意識していきたいなと思った。
(以上)