SSH活動日誌
福島の復興と放射線についての授業2021
7/20,21に福島の復興と放射線についての授業を実施しました。本校では毎年実施しています。
今年は例年以上に一年生の参加が多く、熱心に授業に参加していました。
◎参加者
本校希望生徒55名
担当:本校物理教員
◎目的
放射線とは何か知り、福島県の現状について把握すること。そして放射線の知識を土台として、現在の福島県の課題(廃炉、除染と除染土の処理、風評被害・偏見)を科学的・社会学的に分析し、自分の意見を持てるようになること。
◎授業内容
<第1章>放射線の基礎 : 放射線の正体、単位と測定法、原発の原理
<第2章>放射線の実験 : はかるくんをもちいた実験(環境放射線量の測定、距離と遮へいによる減衰の確認など)
<第3章>福島の現状 : 放射線の生体への影響、現在の福島の線量や食品検査の結果、甲状腺検査の結果と課題、放射線以外の健康影響
<第4章>福島の課題 : 現在の原発の様子と課題、現在の福島県の人口などの状態、風評被害とその原因
終盤での議論:「モニタリングポストを撤去すべきか」
<第5章>福島の努力 : 避難指示解除地域の現在、福島の人の震災後の努力
終盤での議論:「東日本大震災の教訓は何か」
↓下の模造紙に貼られたポストイットは、 「東日本大震災の教訓は何か」について、赤:ポジティブ、青:ネガティブ、緑:これから自分がしたいこと をまとめたもの
◎生徒の感想
・中学校でも放射線のことについて詳しく学んだつもりでしたが、知らないことがたくさんありました。線量計を身に付けていたことや甲状腺検査についてなど、こうやって苦労していること、震災から10年が経つ今でもあの時を取り戻せていないことを、日本全国、世界中に知ってほしいと思いました。祖父母は農家で10年前苦労したはずなのに、私は何も知らない。今日それを改めて感じました。自分に関わることもそうでないことにもこれからは関心を持ち、今日のような機会を逃さないようにしたいと強く思いました。この授業のおかげで今までと見方が変わったところがたくさんあります。 (1年女子)
・今回福島県の努力を知ることができてよかったです。私は○○(旧避難指示区域)出身で、避難生活を送っていました。○○に戻ってからも、私たちの課題は、少子高齢化や人口減少に対して何ができるのか、復興のために私たちができることは何か、ということでした。震災と原発事故の影響など、マイナスなイメージのことばかり考えていました。しかし実際は、私が考えていたよりも人口は変化しておらず、放射線による被害もあまりないことが知れて本当によかったです。震災直後、そしてその後も流れてくる情報をそのまま受け止めていたから、本当のことを知らなかったのだと思います。これからは、自分で何が正しくて何が正しくないのか判断できるようにしたいです。そして、事実を知り、今私にできることは何なのか考えながら生活していきたいです。私は○○が、福島県が大好きです。震災後努力した人が多いから、若い女性でアンケートに「幸せを感じた」と答えた人が多いのだと思います。私も助けてもらった人に恩返ししていきたいです。将来、福島県に住んでいるかは自分でも分かりません。でも、福島県の復興のために、少しでも自分ができることをし続けていきたいです。私は福島県に生まれたことを誇りに思います。 (1年女子)
・授業を受けて、色々思い出しました。僕の親せきは当時第2原発で働いていて、原発事故のちょうど1週間前に遊びに行っていたこと。小さいころからの遊び場が震災直後避難所になったこと。海外で旅行に行ったときにWhere are you from?にFukushima,Japanと答えたらフロントの人がハッとして顔を見合わせていたこと。
大熊の小学校からの転校生、今でも仲がいい友達のこと。その友達が大熊から来たことは何も気にしていませんでした。しかし昨年の県内バス研修で行った中間貯蔵施設で、ゲートから敷地内に行く途中の誰もいない街並みのなかにあった小学校の名前を見たときに、僕は、どうしていいか分からなくなりました。彼が前にいた小学校の名前を僕は覚えていたからです。彼は「みんな『大変だったね』『つらかったでしょう』というけど、そんな簡単な話ではない」というような感じだったと思います。東日本大震災、そして原発事故。「大変だった」という言葉だけで片付けてはいけないことだと思います。今回の授業で、これらのことについて再び深く考えさせられました。 (2年男子)
・科学的に安全だとわかっていてもそれが安心につながらないことが多くあって、その不安を解消していくには、科学的なデータよりも福島の魅力を伝える方がわかりやすく、受け入れてもらいやすいのだと思いました。フランスの高校生への発表では、福島の「今」を伝えたいです。オリンピックの聖火リレーや試合を福島で行うことには大きな意義があるのだと思いました。また、福島県の関連人口が多いことに驚きました。多くの方が福島を応援したいと思ってくださっていることが分かり嬉しかったです。他県の人は福島県のことをよく思っていないんだという固定観念にとらわれることも逆差別であり、よくないと学びました。 (2年女子)
・私は震災直後、県外に避難をしていました。避難当時は毎日放射線量の測定値がニュースで報道されたり、放射線の危険性について親から教えられたりしていました。子どもながらにすごく怖いと感じたのを覚えています。現在でも正直放射線についてはかなりネガティブな印象を持っていました。もしかしたら自分も将来放射線による影響を被るかもしれないという不安も少なからずありました。でも、今日の講義を聞いて、直接的な影響の可能性は限りなく少ないことをしってかなり心が楽になりました。特に食品についての話は驚くことが多かったです。
しかし、今でも間違った情報や、情報不足で福島県の被ばくについて恐怖心を持つ人は多いと思います。以前、福島第一原発に訪問したいと母に話したところ、あまり良い顔はされなかったのも、その一例ではないかと思います。間違った情報ではなく正しい情報を伝えることが今後のメディアの課題だとも感じました。私は将来メディアに関する仕事をしたいと思っていますが、こういった、メディアと風評被害の関係についての知識を活かしていきたいと思うとともに、2011年についての正しい情報を後世に伝えなくてはいけないと感じました。"Discrimination comes from ignoranse and fear" (3年女子)
・自分は今日の講演で、福島県の課題をより真剣に受け止めることができたと思います。将来は地元で復興に献身しながら働きたいです。復興を自分の人生の課題にしたいです。 (3年男子)
・自分は住んでいる市内の○○でボランティアとして活動しており、その中で県内の様々な場所から来る方々と話をさせていただく機会がある。その中には、震災により大きな被害を受けた方もそうでない方もいるが、共通しているのは「福島を盛り上げよう」という想いを持っていることだと思う。そのような熱意ある人々との交流を通して、自分も福島に対する想いがより一層強くなったのは確かだ。しかし、今回の講義を受けて、自分が震災等についての知識をほぼ有していなかったということが分かった。「科学的な視点で」福島を見ていなかったのである。僕を含め、福島県内の多くの人々が復興についての想いや願いを持っているものの、「知識の土台の共有」ができていない状態が現状なのではないだろうか。事実を語り継いでいく僕たちの世代の基礎的な知識が不足していると、のちの世代に福島に起こった悲劇と復興のための人々の血のにじむような努力が伝わらなくなってしまう。あと2世代もあとになったとき、「原発事故?ああ、歴史の教科書に載っているあのカワイソウな災害ね。20..何年だっけ?」などといった認識が世間一般になっているということだけは絶対に避けたい。
そういった意味では、この機会に原発やそれに関連する基礎知識を学習することができたのは非常に幸運であった。しかし講義の最後にあったように、ここがスタートラインだと思う。ここから、講義を受けた僕たちが何を考え、どう行動するか。そこに福島のここからがかかっているのではないだろうか。1人の学生として、県民として、何を為すことができるのか。答えのない課題ではあるが、今後腰をすえてじっくりと考えていきたい。 (3年男子)
SSHクラス SSアカデミーⅡ 「プログラミング」の講義~第三、四回(最終回)~が行われました
7/8(木)7校時目と7/15(木)6、7校時目、SSHクラス2-7で、SSアカデミーⅡ「プログラミング」の講義が行われました。
第三回の7/3は、オンラインで講師の辻様と胡口様、MicroSoft福島県人会の皆さまから各班のプログラミングについてアドバイスをいただきました。
最終回では生徒たちが自分たちの考えたプログラミングについて発表を行いました。2人で一組です。
今回は、「社会問題」「身近な課題」をプログラミングで解決する、というテーマで各班がプログラミングを考えました。(もしくは各自が興味を持った内容についてプログラミング)
前日まで居残りで多くの生徒が自主的に作成し、プレゼンを考えていました。
0715_Sアカ2プログラミング発表.pdfの表のとおり、生徒たちはScratchを中心としたさまざまな言語でプログラミングを作成し堂々と発表しました。
生徒たちは、初めてやってみたけどプログラミングの楽しさに気づけたという意見や、ほかの人のすごさに刺激を受けたという意見が多かったです。
講師の先生方は、2か月近くの間、熱意ある講義とタブレットPCの貸し出し、さらにはMicrosoft Teamsで常に生徒たちの疑問に答えてくださいました。辻様、胡口様、MicroSoft福島県人会の皆さま、お忙しいところご協力本当にありがとうございました。
SSHクラス SSアカデミーⅡ 「プログラミング」の講義~第一、ニ回~が行われました
6/3(木)6、7校時目と6/17(木)6、7校時目、SSHクラス2-7で、SSアカデミーⅡ「プログラミング」の講義が行われました。講師は辻康博様(triart)と胡口敬郎様(Microsoft)です。
今回特別に、生徒一人一人にタブレットPCを貸し出していただきました。
プログラミングを学ぶ意義、Mincraftの紹介、Scratchによるプログラミングの基礎の講義、素因数分解するプログラムの実例とコーディングの解説 を講義していただきました。
全部で4回の予定で、最終回では生徒たちが自分たちの考えたプログラミングについて発表を行います。
6/3(木)
6/17(この日はオンラインで講義していただきました)
京大ポスターセッション2020
「京都大学ポスターセッション2020」の参加賞が届きました
「京都大学ポスターセッション」とは京都大学で実施される、SSH校を中心に招待された高校が研究内容をポスター発表する大会です。例年、京都大学の百周年時計台記念館で行われています。しかし、昨年度はコロナの影響で動画投稿による閲覧、審査となりました。
今回はSSHクラスのカンゾウ研究班が参加しました。入賞はできませんでしたが、他の学校に負けない研究発表でした。毎年、参加賞にオリジナルグッズが貰えます。今年は京大の高大連携・入試広報ポータルサイト「LEOPARD」のマスコットキャラクター「レオーメ」のクリアファイルでした。
今年度もこのポスターセッションが実施されるのか、または招待されるかもわかりません。チャンスは常にあるわけではないのでその機会を逃さず挑戦して欲しいです。
R3 全国SSH 安積高校代表選考会
5月26日(水)、毎年8月に行われる全国スーパーサイエンスハイスクール研究発表会に参加する、本校の代表選考会が行われました。エントリーは以下の8グループでした。
それぞれ、スクリーンに拡大投影されたポスターをもとに8分間の説明をして、その後5分程度の質疑応答を受けました。
質疑は生徒だけでなく先生方からも出されましたが、さすがに3年生だけあってどのグループも戸惑うことなく質問に答えていました。事前の練習が不十分なのか、8分の発表時間を十分に活かせないグループがあったのが残念です。
また、会場の2年生、3年生から活発な質問が寄せられましたが、新1年生からも質問がたくさん出され、今後の校内での発表会が楽しみになりました。
生徒の投票終了後、先生方による審査点も加えた結果、「衝突防止パラグライダーの開発」が学校代表に決定しました。代表の本大会での健闘を期待したいところです。
なお、次点は「ナッツによるチーズの開発」でした。
研究発表評価ルーブリック
下に示すように5月26日(水)に、毎年8月に行われる全国SSH研究発表会で発表する、本校代表の選考会を行います。
すでに3年生8グループがエントリーを予定しています。多くの生徒の見学を期待しています。
この選考会では、発表者の評価を、以下のルーブリック表を用いて評価することとしています。
研究の視点・目的、研究の深化度、発表技術・能力について、それぞれ4段階で評価し、数値が大きいほど高評価となります。
参考のために公開しますので、今後研究や発表を行う上での参考にしてください。
課題研究に取り組む生徒の皆さんが、より高い視点でより深い内容をしっかりした技術に基づいて、発表してくれることを期待しています。
フランス放射線防護高校生WEB会議参加・SSHドイツ・フランス海外交流説明会
5月20日(木)本校3年生が、フランスの高校生放射線防護WEB会議で発表を行いました。
これに合わせて、今年度の本校の海外交流について、担当教員による説明会を実施しました。
参加は2年7組を中心とする2年生、および次年度SSクラスへの参加を希望する新1年生、あわせて50名ほど。
時差の関係でWEB会議は19:00の開会のため、17:00から1時間半ほど、海外交流説明会を実施しました。
教頭先生の開会挨拶ののち、ドイツ研修、フランス研修を担当する先生方より今年度の計画について説明とQ&A。
その後、昨年度海外交流参加してきた生徒たちから、活動の紹介および作成したプレゼンの発表がありました。
そして、これまでフランスとの交流で通訳をお願いしてきたフィクサーの斎木茜さんから、震災後の福島を海外に発信することについてお話をいただきました。
休憩ののち、フランスとのWEB会議が開会。
開会のご挨拶の後、早速安積高校の3年生が「The Past and the Future of Fukushima」のタイトルで10分ほどのプレゼンテーションと5分ほどの質疑応答を行いました。
例年は3日間で約20校ほどの発表が行われる大規模な国際会議ですが、コロナ感染症防止の現状から今年はWEB開催となり、参加はモルドバの1校とフランスの2校、本校と合わせて4校のみの発表というちょっと寂しいものでした。
終了時間が遅くなることから、本校では19:00からのWEB会議の見学は任意参加としていましたが、ほとんどの生徒たちが20:00過ぎまで会場に残り、海外とやりとりする先輩の姿を直に見学していました。
海外交流参加生徒の募集は近々始まりますが、係では多くの生徒たちの参加を期待しています。
SSHクラス SSアカデミーⅡ 「統計学と検定」の講義~第二回~が行われました
5/20(木)6、7校時目、SSHクラス2-7で、SSアカデミーⅡ「統計学と検定」の第二回の講義が行われました。講師は福島大学の大橋弘範准教授です。
連続講義の最終回である今回は、標本集団、「検定」の意味、キーワード「①仮説検定、②帰無仮説、③対立仮説、④信頼水準」について学びました。
大橋先生自身、「本来大学で半年かけて学ぶもの」とおっしゃっていたとおり、高校で学ぶ範囲を超えた難易度の高い凝縮された講義でした。生徒たちはくらいついていましたが、検定の初歩的概念や数学の有用性などは身をもって学べたのではと思います。
ひとまず、実際のデータ分析において、学んだことを活かしてみてください!
2学年探究Ⅱ 岡本尚也先生講演
5月12日(水)2年生の探究Ⅱにおいて、 探究の時間に使用している『課題研究メソッド』 の著者で一般社団法人glocal-academy 理事長の岡 本尚也先生をお招きし、「社会の変化と課題研究 ~探究活動の意義とその方法~」 という演題で講演を行っていただきました。
課題研究のテーマ設定についての考え方など、 生徒たちがこれから課題研究を進めていくうえで参考になる内容だ ったと思います。
経験談を交えながら生徒たちに質問する形式での講演で、岡本先生は生徒たちに答えさせた後、さらに、「なぜそう思うのか」突っ込んで質問することで、「問い」から「新たな問い」に発展させる手法を示してくださいました。生徒たちはスピード感のある掘り下げに引き込まれ、真剣に参加できていたように思います。
SSHクラス SSアカデミーⅡ 「統計学と検定」の講義が行われました
5/13(木)6、7校時目、SSHクラス2-7で、SSアカデミーⅡ「統計学と検定」の講義が行われました。
講師は福島大学の大橋弘範准教授です。
数学の時間に基礎を習う統計学ですが、実際の社会でどう使われているかや実験データの解析への応用は
高校では一般に教えられません。
SSHクラスだけが受けられる今回の講義では、統計学の応用例やヒストグラム作成(手作成とエクセル作成)を通して基本的な事項の確認をしました。
来週の講義ではいよいよ本格的に「検定」について学びます!
生徒たちに出された宿題
・「①仮説検定、②帰無仮説、③対立仮説、④信頼水準」の4つを調べてみる。説明をメモ用紙に書いてみる。
・数学Ⅰの統計の内容を、もう一度教科書読んでみる。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
27   | 28   | 29   | 30   | 31   | 1   | 2   |
3   | 4   | 5   | 6   | 7   | 8   | 9   |
10   | 11   | 12   | 13   | 14   | 15   | 16   |
17   | 18   | 19   | 20   | 21   | 22   | 23   |
24   | 25   | 26   | 27   | 28   | 29   | 30   |
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